平成十六年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案について、政府案に反対し、民主党案に賛成の立場で討論を行いまました。

 以下発言です。

 まず最初に、この法律案が、特例であるにもかかわらず、五年も連続しているという事実を指摘しなければなりません。
 もはやこれは、現行の完全自動物価スライド制という制度自体に問題があると言わざるを得ません。政府もそのことを認め、これまでの特例法案の審議の際には、制度そのものの見直しに言及してきました。にもかかわらず、政府は、その見直しをせず、事態を何年も放置してきたのです。この政府の不作為は厳しく責められなければなりません。
 今回、民主党が対案を提出した背景には、こうした政府の不作為による事態の放置、それによる今回の特例法の提案という無責任な政府の対応を指摘することがあります。
 そのことを踏まえた上で、以下、平成十六年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案について、政府案に反対し、民主党案に賛成する理由を申し述べます。
 政府は、提案理由で、物価下落を年金額に反映させるに当たって配慮すべき二つの点について述べられました。すなわち、第一に保険料を負担する現役世代との均衡、そして高齢者等の生活への配慮です。
 このうち、現役世代との均衡へ配慮するために、マイナス〇・三%の物価スライドを実施することは、一応理解できるものです。しかし、年金の受給額が低い者に対しても一律に引き下げを行う政府案は、高齢者の生活への配慮を欠いたものとしか言いようがありません。
 政府案は、昨年の物価スライド法に付された附帯決議を無視し、「高齢者が生活上の安心を得られるよう必要な措置を講ずること」を怠ったまま、一律な物価スライドを適用しているのです。これでは、政府案が提案理由で述べている二つの要請を同時に満たしているとは言えません。
 一方、私ども民主党案は、老後の最低限の年金額は最低保障年金として保障するという新しい年金制度の考え方を現行制度の下でできる限り実現するという考え方に立って、政府案の欠点を克服しようとしたものでありまして、現役世代との均衡をとりつつ、高齢者の生活をも考慮したものであると言えます。
 以上が、民主党案に賛成し、政府案に反対する理由です。
 以上申し述べ、私の討論を終わります。